
持続可能な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(宇宙ごみ、以下、デブリ)除去を含む軌道上サービスに取り組む株式会社アストロスケールホールディングス(本社:東京都墨田区、代表取締役社長兼CEO 岡田光信)の子会社で人工衛星システムの製造・開発・運用を担う株式会社アストロスケール(本社:東京都墨田区、代表取締役社長 加藤英毅、以下「アストロスケール」)はこの度、大型の衛星デブリを対象に接近と観測を行うISSA-J1(イッサジェイ、In-situ Space Situational Awareness – Japan 1の略)のミッションに関して、3つに分けられている事業フェーズのうち、機体の基本設計等を実施したフェーズIからフェーズIIへ移行することをお知らせいたします。
アストロスケールは、文部科学省が推進する「SBIR制度」(革新的なスタートアップ等による研究成果を社会実装し、イノベーション創出を促進する制度)における、宇宙分野の大規模技術実証事業(フェーズ3)に採択され、スペースデブリ低減のための技術開発・実証をテーマに、「軌道上の衛星等除去技術・システムの開発・実証」に取り組んでいます。2023年10月にフェーズIが採択され、大型の衛星を対象デブリとした近傍での撮像・診断ミッションとしてISSA-J1を開発中です。尚、本事業はフェーズIIIまでを予定しており、最長で2028年3月まで継続予定です。フェーズIでは、機体の基本設計や航法センサの開発を行いました。フェーズIIにおいては、詳細設計や衛星組立、地上試験、運用準備等を予定しています。フェーズIIについて交付される補助金額は、最大63.1億円(税抜)です。
また、アストロスケールは2024年2月に開始した商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J(アドラスジェイ、Active Debris Removal by Astroscale-Japan の略)」のミッションにおいて、観測対象のデブリ(日本のロケット上段)の周回観測、デブリから約15mの距離までへの接近、衝突回避機能の設計の正しさの確認などに成功しています。ISSA-J1のミッションにおいては、ランデブ・接近・観測対象を大型の衛星デブリとすることで、軌道上サービス実現に向けた能力と実績をさらに高めます。
運用を終了した衛星等のデブリは、外形や寸法などの情報が限られるほか、位置データの提供や姿勢制御の協力が得られません。よって、その劣化状況や回転レートなど、軌道上での状態を把握しつつ当該デブリに安全・確実にRPO(ランデブ・近傍運用)を実施することは、デブリ除去を含む軌道上サービスを提供するための基盤となります。本事業の技術実証により、アストロスケールは軌道上にある大半の大型デブリのへのRPOを可能とする技術の確立を狙います。
