
再利用可能なサービサー衛星と制御再突入により、軌道上および地球上での持続可能な運用への道が開かれます。
持続可能な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(宇宙ごみ、以下、デブリ)除去を含む軌道上サービスに取り組む株式会社アストロスケールホールディングス(本社:東京都墨田区、創業者兼 CEO 岡田光信)はこの度、米国特許第12,234,043 B2号「複数デブリ除去の方法とシステム」を取得したことをお知らせいたします。老朽化した衛星や断片化したデブリで低軌道がますます混雑し、新しい衛星が加速的に打ち上げられる中、この革新的な特許技術は持続可能で費用対効果の高い既存デブリ除去(ADR)の基盤となり、スケーラブルで繰り返し可能な複数デブリの除去と制御再突入を可能にします。
軌道上にある数トンのデブリを大気圏にと再突入させ、地球の安全な場所に落下させる場合、従来のデブリ除去の方法は高価で機敏性に欠け、複数のデブリを除去するために必要な燃料が搭載できないなど、大きな制約がありました。今回のアストロスケールの独自技術はこれらの障壁を克服するとともに、制御再突入という選択肢も可能にし、大型デブリの破片が住居地域や地上の重要なインフラに危険を及ぼさないことを保証します。これは近年高まる公共の安全への懸念や国際的なベストプラクティスに沿ったものです。具体的な方法としては、サービサー衛星がデブリ(「クライアント」)にドッキングし、低い軌道にいる再突入支援衛星(「リエントリシェパード衛星」)に移します。クライアントがリエントリシェパード衛星とドッキングした後、サービサー衛星は分離して新しいクライアントへと向かい、リエントリシェパード衛星が最初のクライアントを安全に大気圏への再突入に誘導します。この行程を繰り返すことで、サービサー衛星が一回のミッションで複数の大きなデブリを除去することができます。
この仕組みはミッションに応じて柔軟に対応することができ、例えばリエントリシェパード衛星がクライアントと共に再突入したり、クライアントの再突入のための軌道挿入後に分離し軌道上に戻ったり、ミッションによってはシェパード衛星なしで進めることも可能です。この適応性は、様々な大きさとリスクとデブリに対応するために必要となります。
この新しい特許はアストロスケールの複数デブリ除去を可能にするアプローチに基づいています。2026年に打上げ予定のELSA-Mは、捕獲や除去を可能にするインターフェースを搭載した運用を終えた衛星を一回のミッションで複数機除去することができます。一方、今回新たに特許を取得した方法は、ロケット本体や古い衛星など、大型でドッキング機能が搭載されていないデブリを安全に大気圏へと誘導します。
この新しい特許はアストロスケールの知的財産ポートフォリオをさらに強化し、次世代のための安全で持続可能な宇宙利用を支える実用的で革新的な軌道上サービスのリーダーとしての立ち位置を強化するものとなります。