
持続可能な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(宇宙ごみ、以下、デブリ)除去を含む軌道上サービスに取り組む株式会社アストロスケールホールディングス(本社:東京都墨田区、代表取締役社長兼CEO 岡田光信)の英国子会社であるAstroscale Ltd.(以下、アストロスケール英国)はこの度、英国宇宙庁(UKSA)が主導する英国デブリ除去ミッションのソリューションである「COSMIC(コズミック、Cleaning Outer Space Mission through Innovative Capture)」の開発において、現在の契約フェーズの中間レビューを無事達成したことをお知らせいたします。
COSMICは、低軌道上にある役目を終えた英国由来の衛星2機を安全に除去し、持続可能な宇宙環境の実現に向けた大事なミッションです。
デブリ除去技術の確立は、宇宙業界の急成長分野である組み立ておよび製造を含む軌道上サービス(以下、ISAM)に向けた大きな一歩であり、このミッションを通して英国全土に広がるサプライチェーンと連携しながらロボットアームを使用した安全で精度の高いデブリ除去を英国の技術で可能にします。
昨年9月に受注した現在の契約フェーズは主要技術の成熟とリスク軽減に重点が置かれており、中間レビューに向けては主要パートナーと共にデブリの姿勢安定化の技術やロボットアームによる捕獲システムの進捗に取り組みました。捕獲対象の衛星が回転している場合、安全で信頼性の高いデブリ除去を行うために、衛星のスラスターをデブリに噴射することでデブリの姿勢を安定させます。
この画期的な技術の実用性を高めるため、アストロスケール英国はドイツ航空宇宙センター(DLR)の実験施設で宇宙空間を再現した真空チェンバーを使用したテストを実施しており、シミュレーションと実際のデータの連携を行っています。
また、Airbus Defence and Space英国、AVS英国、Nammo英国やRedwireと機器適格性評価(Equipment Qualification Status Review、EQSR)を行い、それぞれの部品が安全性の高いデブリ除去に必要な基準を満たしているかを評価しました。法規制の観点でもリスク軽減を進めており、ミッションを軌道上で安全に遂行するために必要な契約のフレームワークを法律やビジネスの観点からも精査しています。ロンドンの法律事務所DLA Piperをはじめとして英国の民間航空局(CAA)や英国情報通信庁(Ofcom)などの独立規制局、その他政府関係各所と協力しながら、COSMICミッションのライセンス付与に必要な国内・国際法の特定と査定を行いました。この仕組みづくりはISAMを含む宇宙活動の法規制分野における英国のリーダーシップを支えるものとなります。
3月に予定されている最終レビューに向けてはミッションのスケジュールやコストの精査が進められる予定で、次の開発フェーズに向けた基盤作りとともに英国のISAM分野のロードマップに貢献します。
